HSの基本

化膿性汗腺炎(HS)を知る

痛いしこりを繰り返す皮膚の病気です。どのような症状が出るのか、どんなことを診察で伝えるのかを説明します。

窓辺の机に開いたノートとペン
AIで作成した説明用のイメージです。

01 / 病気の特徴

毛の根元の周りで、炎症を繰り返します。

HSは、毛の根元を包む「毛包(もうほう)」を中心に炎症が起こる、慢性の皮膚の病気です。痛みのあるしこりや腫れが、同じ場所や近くに繰り返し現れます。[1]

症状が落ち着く時期もあります

症状が続くことも、落ち着く時期があることもあります。症状の強さや範囲、生活への影響は人によって異なります。[2][5][6]

原因はひとつではありません

原因はまだ十分に解明されていません。毛包の変化に、遺伝、ホルモン、環境など複数の要因が関係すると考えられています。[2]

清潔にしていないことが原因ではありません。

HSそのものが人から人へうつることもありません。症状がある場所に細菌感染が加わることはありますが、HSと感染症は同じ意味ではありません。[3][4]

02 / 症状と部位

皮膚にみられる変化

次のような変化がみられます。すべての症状が出るわけではなく、必ず同じ順番で進むものでもありません。[5]

皮膚の奥に赤いしこりがあり、表面が盛り上がっている断面イラスト

痛いしこり・腫れ

皮膚の奥に、押すと痛いしこりができます。赤く腫れたり、動くときに痛んだりすることもあります。

皮膚の下の膿のたまりから、表面の開口部へ液が出ている断面イラスト

膿や液が出る

しこりが開き、膿や血の混じった液が出ることがあります。服の汚れやにおいが気になる場合もあります。

皮膚の下の通り道が、2つの開口部をつないでいる断面イラスト

皮膚の下のトンネル

炎症を繰り返すと、皮膚の下に通り道ができることがあります。「瘻孔(ろうこう)」と呼ばれます。

閉じた傷あとの凹凸と、皮膚の内側の線維状の組織を描いた断面イラスト

傷あと・つっぱり

症状が落ち着いたあとも傷あとが残り、皮膚がつっぱることがあります。「瘢痕(はんこん)」と呼ばれます。

皮膚の断面を描いた説明用イラストです。実際の色・形・大きさ・深さとは異なります。写真や図だけで診断することはできません。

前面と背面に、脇、乳房の下、足の付け根、お尻周辺を示した説明図
主な部位の位置を示すイメージ図。性別に関係なく起こります。

できやすいのは、皮膚が重なる場所

  • 脇の下
  • 足の付け根・太ももの内側
  • お尻・肛門や性器の周り
  • 乳房の下

首の後ろなど、ほかの部位に出る場合もあります。[4]

03 / 受診の目安

痛いしこりを繰り返すときは、皮膚科へ。

脇や足の付け根などに痛いしこりができる、液が出る、同じ場所で繰り返すときは、皮膚科で相談してください。[5]

おできなど、似た症状の病気もあります。ご自身でHSと決めつけず、これまでの経過を医師に伝えましょう。

窓辺の机に開いたノートとペン
AIで作成した説明用のイメージです。

04 / 診察の準備

「いつ・どこに・何が起きたか」を伝えます。

  1. 01

    いつから・何回くらい

    初めて気づいた時期、繰り返す間隔、落ち着いていた期間。

  2. 02

    どこに・どんな症状

    左右と部位、痛み、しこり、液や出血、傷あと。

  3. 03

    何に困っているか

    眠れない、座れない、服が当たるなど。これまでの治療も伝えます。

この図は、診察で話す内容の整理例です。思い出せる範囲で構いません。

05 / 生活上の困りごと

眠れない・歩きづらいなど、生活で困ることを医師に伝えましょう。

しこりや腫れのほかに、痛みや排液によって日常生活でできなくなったことも、治療やケアを考えるための情報になります。[6]

明るい窓辺のソファで本を読む人の後ろ姿
生活場面のイメージ

睡眠のこと

伝え方の例(架空)

「脇の痛みで、夜中に2回目が覚めました。」

痛みが強くなる時間や、眠れなかった回数を伝えます。

窓辺の机でノートを取る人を後ろから見たイメージ
生活場面のイメージ

仕事・学校のこと

伝え方の例(架空)

「座っているとお尻が痛み、何度か立ちました。」

困る姿勢や動作、仕事や授業を休んだことを伝えます。

窓辺に掛けた白と水色のシャツ
生活場面のイメージ

服・ガーゼのこと

伝え方の例(架空)

「液で服が汚れ、外出中に着替えました。」

交換の回数、こすれる場所、準備や費用の負担を伝えます。

短くても、具体的な一場面が役立ちます。

「生活がつらい」だけでなく、「いつ・どんな場面で・何ができなかったか」を一つ添えてみてください。不安や、人に説明しづらいことも、そのまま伝えられます。

困った場面を記録する

06 / 治療を知る

薬、処置・手術、日々のケア。

治療では、皮膚の炎症だけでなく、痛みや生活への負担も確認します。治療の種類と、それぞれの目的を別のページで詳しく説明しています。

HSの治療について読む

参考情報

このページの情報について

一般的な病気の説明です。診断や、ご自身に合う治療の判断は医療機関で行います。写真は説明用のイメージで、実際の患者・診療場面の紹介ではありません。

  1. 日本皮膚科学会:化膿性汗腺炎診療の手引き2020(外部サイト)病気の定義と症状。2021年の日本皮膚科学会雑誌に掲載。
  2. 米国NIH / NIAMS:HSの概要(外部サイト)原因・炎症の仕組み・症状の個人差。英語。
  3. 英国皮膚科学会:HS患者向け情報(外部サイト)原因と感染に関する説明。英語。
  4. 英国NHS:HS(外部サイト)症状が現れやすい場所。英語。
  5. 米国皮膚科学会:HSの症状(外部サイト)しこり、排液、皮膚の変化と受診。英語。
  6. Guy’s and St Thomas’ NHS:HSの生活への影響(外部サイト)身体・気持ち・社会生活への影響。英語。

内容確認日:2026年9月10日。国内の医療情報を基本に、海外の公的機関・専門学会の患者向け情報も参照しています。